何年ぶりかに打ちに行ったパチンコ。座ったのはパチンコすしざんまい。
ほどなく当たり、大当たりのBGMが流れ始める。
普通であればパチンコのBGMに気を留めることはない。ただ、やたらと一生懸命に歌っているヴォーカルが耳に残り、徐々に意識が歌詞へと持っていかれる。
たかがパチンコの音楽だろ？なんでそこまで必死に歌ってるんだ？

「エスユーエスエイチアーイ（SUSHI)ざんまい」「食材～に関して言えば」「ソマリア海峡にー」
なんだその歌詞？？なんか面白いぞ。
大当たり中はボタンで楽曲を切り替えられるが、普段であれば絶対に切り替えることはない。
曲を聴くために打っているわけではないし、BGMなんざどうでもいい。
ただこの時は切り替えた。
「マママママママママグロっちゃんす」「お願いダーリンただのマグロじゃ終わらない」
いや、この人天才だろ。完全に狙って作ってんだろ。
一曲全部聴いてまた切り替える。
「立っちゃったー立っちゃったー茶柱ビンビンビン」「ビンビンビビン♪ビンビビビビンゴ♪」「恥ずかしがらず見せてみてよ、立ってんじゃないの・・・茶柱が」
いやいや、最後に茶柱ってつければ許されるのかよ。
軽快なリズム、ギリギリを攻めたコミカルな歌詞。

一体全体誰がこの曲作ったんだ？
パチンコ音楽ってレベルじゃねえぞこれは。

家に帰り検索すると「かわむらいさみ」という名前が出てくる。
そしてyoutubeにあった。

すしざんまいのテーマ
https://youtu.be/kcRV6EYD-34
茶柱タツオ７７歳
https://youtu.be/XTS8J5l_qk8
マグロっちゃんす
https://youtu.be/U19hukHjGvA

改めて家でじっくり聴くと、五月蠅いパチンコ屋では聞こえなかったバックコーラスが鮮明に聞こえてくる。美しい。
細部まで完全に計算し尽くされている。ただの色物じゃない。
ミニマル、ドラムン、サイケ、ハッピーハードコア、トランス、普段クラブミュージックしか聴かない、興味がない自分がitunesで3曲即買い。

まだ世に出ていない天才。
これだけ才能のある方がオーディションを受ける立場だということに心底驚く。
自分がプロデューサーの立場なら大金積んで囲い込む。平身低頭、専属契約をお願いする。

「すしざんまいのテーマ」にしても、耳にするのはパチンコを打つ人間、その中でもすしざんまいという台を打ち、大当たりさせた人間だけ。ごくごく限られた一部の人間にしか認知されていない。
それでもyoutube再生数は4万近い。
才能を埋もれさせてはいけない。