オンライン先行の時代だからこそ
現代のバンドシーンにおいて、オンライン上の数字(フォロワー数、再生回数、いいね数など)が実際のライブ動員やフィジカルの売上といったリアルな数字に追いついていないという現象は、音楽業界の構造的変化や文化的トレンドを浮き彫りにする興味深い現象だと思います。このギャップには、音楽の消費スタイルやアーティストとファンの関係性が複雑に絡み合っており、多非常に興味深いテーマだなあと思ったので、これに関する私の考察を少々。
まず、
オンラインの数字が先行する現象は、SNSやストリーミングサービスの普及によって生じたと言えます。特に若い世代において、音楽は「所有する」ものから「アクセスする」ものへと変化しました。アーティストがバイラルヒットを生み出したり、リールやショート動画で楽曲が拡散されたりすることは簡単になりましたが、それが必ずしもリアルなコミュニティや熱狂的なファン層の形成につながるわけではありません。言い換えれば、オンラインの拡散力はファンの「深度」ではなく「幅」を広げる傾向があります。そのため、フォロワー数が何十万人規模でも、ライブに集まる観客数が数百人にとどまるケースが生じているのではないでしょうか?
また、
この現象は「音楽そのもの」と「アーティストのキャラクター」の分離にも関係しているように感じる。うん。
SNSでは、楽曲そのものではなく、アーティストの個性的なキャラクターや投稿内容が注目されることが多いです。たとえば、SNSで人気が出た理由が「面白い動画」や「ファッションセンス」であった場合、それに惹かれてフォローした人が音楽そのものに対して強い興味を持たないこともあります。結果として、オンライン上の数字が高くても、ライブに足を運ぶファンの「コア層」にはつながらない場合があるのではないかなと。
さらに、
オンラインとリアルのギャップは、リスナーの音楽との接触の仕方にも影響されています。ストリーミング時代のリスナーはプレイリストを中心に音楽を消費するため、特定のアーティストに対する忠誠心が薄くなっています。良い楽曲に出会えば「いいね」や「フォロー」はするものの、そのアーティストのライブに足を運ぶほどの熱意を持つリスナーは限定的だからそこ、このような「軽い接触」がオンラインの数字を押し上げる一方で、リアルの動員には結びつきにくい状況を生み出している!と言えるかもしれない。
一方で、
このギャップはオンラインとリアルの両方でアーティスト活動を展開する上での戦略的ヒントにもなります。たとえば、オンラインでの人気をリアルの動員につなげるためには、単なる楽曲配信だけでなく、ファンと深い関係性を築く工夫が求められます。SNS上でのエンゲージメントを高めたり、リアルイベントでの特別な体験を提供したりすることで、オンラインの数字をリアルな成果に変換する可能性が広がります。
このように、
オンラインとリアルの数字のギャップは、現代の音楽業界における構造的な変化を象徴しており、アーティストやリスナーに新しい可能性と課題を提示しています。このギャップを埋めることができるアーティストが、次世代のバンドシーンを牽引する存在になるのではないでしょうか。
そういう点も含めてこういうテーマを取り上げくれることには非常に意義があると思うし、生産者消費者双方の立場から考える必要があるなあと、ふと。
2024/12/04