体験アトラクション型エンターテインメントへようこそ
3ヶ月程前にErizbethEightを初体験した
そのまさに〝体験〟と呼ぶに相応しい
ステージングをネタバレ的に綴ってみる
書面でのネタバレは何も問題はない
それはまだ〝体験〟ではないのだから
先行SEでメンバーが登場
キャリアのもたらす風格は
下手からの数歩にも表れるものと知る
ステージのセンターに集合して
体育会式の一本締めを披露
コミカルでいて儀式的にも思える所作により
これから始まる事への漠然としていたワクワク感は
ここで一気にプーストされる
そしてメンバーの在るべき位置に板付いた刹那
不意を打つドカーンと言うサウンド
ギター、ベース、ドラムスが一体化した爆音
所謂〝ロックな音〟を喰らう
独特の高揚感と緊迫感は一瞬で空気を変える
あぁ、ロックだ。これがライヴハウスの空気なのだ
早くも五感は釘付けとなり
誰もがステージから目を離せなくなる
そんな〝受け入れ体制の整った〟オーディエンスは
ダークでキャッチーな世界観を
独自のセンスで紡ぎ合わす楽曲と
その数々の名曲を繋ぐMCによって
ジェットコースターの如く感情を揺さぶられていく
世間話めいた自己紹介でフロアとの距離感を排除し
卓越した言葉選びと話し方が作り出す
センスの良い笑いで緊張感を排除
間と抑揚で最も効果的に仕上げたトーク力で
フロアの興味を容赦なく惹きつけていく
中盤、すでに心は鷲掴み
そしてすっかり身近な存在となった心に
終盤、リアルでエモーショナルな
告白と言うに相応しい語り口が
無防備な感情を貫いてくるのだ
多くのオーディエンスは涙腺の崩壊を体験する
フレーズ、音色、奏法のセンスや佇まいまでもが
個々の個性にビリビリと光る
それらが溶け合う音と景色の
何と相性の良いことだろう
卓越した感性だけに頼る事なく
ストイックなまでに計算され尽くした構成で成り立つ
このアトラクションのようなロックショーは
誰を誘っても楽しい体験が出来る
そんな安心感
それこそがErizabethEightの真骨頂ではないだろうか
ライヴハウスで体験するロックの
少し危険でアンダーグラウンドな世界観を保ちつつ
見事エンターテインメントへと昇華させた功績は
一部で〝オワコン〟と囁かれる
ロックバンドというカテゴリーの
近未来を
大きく変えていくのかも知れない
2025/01/25