モナリザの微笑み
初めて彼女の声を耳にしたのは音声配信アプリで開催されたラジオDJオーディションだった。そのときは一瞬で思考が止まり胸がざわついた。
というのも、私も同じオーディションに応募し、ライバルを探そうと各応募番組を再生して回っていたのだ。
そこには強烈に脳裏に叩き込んでくる声質とグルーブがあった。
同じ応募者として「これは手強い」と焦燥感に駆られたことを強烈に覚えている。
特徴的かつ聞き心地の良い声質が備わっている。
基本的には太陽のように明るくハキハキとしていて可愛らしい声質なのだが、この中にクールな声を兼ね備えているのだ。
感覚的なものなので例えるのが難しいが、有名人でいうと声優の林原めぐみ氏との類似点だろうか。
私の感覚でいうと、彼女は二種類の声がユニゾンで発声されているのだ。
絵画で例えるとモナリザの微笑みだ。「モナリザ効果」に似ているかもしれない。
モナリザは複数の視線を持つため、どこからでも目が合うように見える。
人の心理として、対面の相手から目が合って微笑まれるとやはり好印象を抱く。
彼女の声質も同じだ。
彼女の声は全くどこからでも微笑んでくるのだ。
才能というのはまさにこのことをいう。
彼のエジソンが言ったように、天才には99%の努力と1%の閃きが必要である。
この真意は「1%のひらめきがなければ99%の努力は無駄である」ということだ。
現実的で厳しい言葉だが、天才というものを表すには適格な表現である。
これをアーティストに例えてみる。
アーティストが世間に認められるには、どうしても"1%の才能と99%の技術力"が必要なのだ。
歌唱力や演奏力においてそれなりの技術力を身につけている音楽家は五万といる。
そこで何が差をつけるのか。
まさに1%の才能。
彼女にはまだまだ荒削りなところがある。
内面的な揺さぶりを克服した先が非常に楽しみな歌姫である。
2024/12/07