かわむらいさみ応援ストリートライブレポ
【予選2nd 第1ブロック】OTONOVA2023
開催日: 2022/12/16
12月某日。新宿西口のデッキ下にかわむらいさみは居た。
もちろんそこでストリートライブを敢行するためだ。しかしその日の彼は、カポタストを忘れ、さらにはなんとマイクまでをも忘れてきたという。
これが、かわむらいさみ、愛すべき男である。
しかし、ストリートに聴きに来たかいがあるというものだ。帰りかけていたが、マイクなしの地声で続行となった。
本来のサウンドはバンド形式であるが、ストリートではエレキによる弾き語りとなる。ストローク主体の演奏に歌声を載せていくのだが、とにかくカッティングが上手い。ギターだけでずっと聴いていられるくらいだ。曲によっては複数の声部を難なく鳴らしていたりもする。街ゆく人もギターうまいやん?って見てる気がする。僕だけかもしれないが。
この日はマイクがなかったから、きっと遠くからは著しく上手いギターサウンドだけが公然と響き渡って聞こえていたに違いない。想像するとシュールな光景だ。
かわむらいさみは、そんなシュールな世界観に生きていることを実感する。
常に声を張っているので、喉を壊さないか心配になってきた。そこらへんの家電店で安いマイク買って差し入れようかと思っていた矢先、なんとマイクを持ったファンが現れたのだ。そこから先は投げ銭も観客もずっと好調に推移した。
かわむらいさみのライブでは、ときにこのような奇跡が起きる。
そんな彼が歌うのは、いわば人生そのものだ。独特なワードセンスで紡がれるそれは、恋愛だけではない、親子について歌った曲も少なくない。プロフィールに掲載されているMV、「CALL ME BABY」もそうだ。親や子について考える年齢になったからか、泣けてしょうがない。中年にも若者にも響くと思うので、ぜひ聴いてみて欲しい。刺さるものがあったなら、他の曲もきっと刺さると思う。
この日のストリートでの「CALL ME BABY」は、まさに人生を感じさせる歌声だった。カポを忘れたせいで低いキーで歌ったそれは、いつもよりほんのりビター。人生ってビターだね。
かわむらいさみは、演奏が上手いだけではない。ソングライティングも注目すべきアーティストだ。曲のタイプは非常に幅広く、キャッチーでエモーショナルなメロディに、リズムに起伏のあるソングライティングが特徴的だ。
演奏よし、歌詞よし、曲よし、歌もいい。ストリートで聴いていると、なんでいまストリートにいるのか、ふと不思議になる。
タダでこんなに聴けていいの?いちファンとしてはそれもうれしいんだけれど、もっとたくさんの人に聴いてもらいたい。だから、応援、よろしくお願いします!
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