Post Reports
投稿したレポート
かわむらいさみとの出会い
今から3年ほど前、2020年2月のこと。名古屋の台湾ラーメン屋で、ぼくらはかわむらいさみさんと出会ったのだった。かわむらさんもぼくらも名古屋の人間ではない。奇跡的な出会いがそこにあった…とカッコつけましたが、要は飲み屋で隣にいたのがかわむらさん、とそういうことです。音楽まったく関係ない出会いだった。
彼の作る音楽との出会いはその翌日。
名古屋からの帰途、半信半疑に過去の作品、すなわち「乱舞虎」名義のアルバムを聴き始めた。一聴して気に入った曲もあれば、聴き込んでいくとその良さがわかるようになった曲もある。ていうか、アルバムによくある捨て曲みたいなのがない。それでもって歌詞もいい…これは人生…ってそれは前回のレポートで書いたから割愛ね。
当時は、ソロ名義のアルバム「心BEAMS」の発売直前の時期で、リリースが非常に楽しみだったことをよく覚えている。アルバムのテーマが親子とか家族とか、他にはちょっとないものだったのも大きい。当時のぼくは、親子の問題の渦中にあり、彼の音楽に救われてもいたから。
リリースにつきもののレコ発ライブも行く気マンマンだったのだけれど、その頃、コロナ禍がすでにはじまっていた。ライブなどまったく無理な状況になってしまっていた。
かわむらいさみは、そういう部分の運に恵まれていない男である。
実にかわむらいさみらしいのは、その後もぼくがみている限りでも何度かそんな不運な場面にでくわしている事だ。きっと前世が良すぎたか、もらった奥様が良すぎたかして、均衡を保っているのかもしれない。
そんなわけで、かわむらいさみに出会って半年くらいはずっと配信ライブだった。
配信ライブを観るときは、画面を前に餃子を食べたり、うどんを食べたりした。…ちょっと何を言っているかわからないと思う。ぼくの口からうまく説明できるかわからないので、それがかわむらいさみライブの世界観である、とだけ言ってみる。
ソロアルバム「心BEAMS」以降は、シングルやEPを次々にリリースしている。ファンのみなさんがレポートに書かれているようにどれもいい曲ばかりで、今の社会問題の当事者に寄り添うテーマの曲まである。
やっぱり何度でも言おう、かわむらいさみの音楽は人生だ。
まだ音源化されていないライブでしかやってない曲もあるし、いまや音楽はストリーミングの時代だけれど、はやくフルレンスアルバムをフィジカルでリリースして欲しいものだ。そのためにもみなさんの応援とオーディションの勝ち抜きが必要になってくると思う。
ところで、かわむらいさみのCDはいつも、イタズラ心なのかサービス精神なのかよくわからないものにあふれていて、おもしろい。是非とも手にとってほしい。
2022/12/28
かわむらいさみ応援ストリートライブレポ
12月某日。新宿西口のデッキ下にかわむらいさみは居た。
もちろんそこでストリートライブを敢行するためだ。しかしその日の彼は、カポタストを忘れ、さらにはなんとマイクまでをも忘れてきたという。
これが、かわむらいさみ、愛すべき男である。
しかし、ストリートに聴きに来たかいがあるというものだ。帰りかけていたが、マイクなしの地声で続行となった。
本来のサウンドはバンド形式であるが、ストリートではエレキによる弾き語りとなる。ストローク主体の演奏に歌声を載せていくのだが、とにかくカッティングが上手い。ギターだけでずっと聴いていられるくらいだ。曲によっては複数の声部を難なく鳴らしていたりもする。街ゆく人もギターうまいやん?って見てる気がする。僕だけかもしれないが。
この日はマイクがなかったから、きっと遠くからは著しく上手いギターサウンドだけが公然と響き渡って聞こえていたに違いない。想像するとシュールな光景だ。
かわむらいさみは、そんなシュールな世界観に生きていることを実感する。
常に声を張っているので、喉を壊さないか心配になってきた。そこらへんの家電店で安いマイク買って差し入れようかと思っていた矢先、なんとマイクを持ったファンが現れたのだ。そこから先は投げ銭も観客もずっと好調に推移した。
かわむらいさみのライブでは、ときにこのような奇跡が起きる。
そんな彼が歌うのは、いわば人生そのものだ。独特なワードセンスで紡がれるそれは、恋愛だけではない、親子について歌った曲も少なくない。プロフィールに掲載されているMV、「CALL ME BABY」もそうだ。親や子について考える年齢になったからか、泣けてしょうがない。中年にも若者にも響くと思うので、ぜひ聴いてみて欲しい。刺さるものがあったなら、他の曲もきっと刺さると思う。
この日のストリートでの「CALL ME BABY」は、まさに人生を感じさせる歌声だった。カポを忘れたせいで低いキーで歌ったそれは、いつもよりほんのりビター。人生ってビターだね。
かわむらいさみは、演奏が上手いだけではない。ソングライティングも注目すべきアーティストだ。曲のタイプは非常に幅広く、キャッチーでエモーショナルなメロディに、リズムに起伏のあるソングライティングが特徴的だ。
演奏よし、歌詞よし、曲よし、歌もいい。ストリートで聴いていると、なんでいまストリートにいるのか、ふと不思議になる。
タダでこんなに聴けていいの?いちファンとしてはそれもうれしいんだけれど、もっとたくさんの人に聴いてもらいたい。だから、応援、よろしくお願いします!
2022/12/15