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新しいライブスタイル!

あさがやドラム【東京】 流川慈綺

アサガヤガールズコレクションVol.231

開催日: 2025/12/13

ライブハウスには、時折、言葉にできないほど濃厚な「個の空気」が満ちる夜があります。流川慈綺さんのステージは、まさにその象徴でした。 「自己否定の肯定」という、一見するとパラドキシカルなテーマを掲げる彼女が、音の中でどう自分を解き放つのか。その一端に触れた夜の記録です。


彼女のステージで特筆すべきは、やはりルーパーを駆使した独自のライブスタイルです。 単なる「弾き語り」という枠に収まらない、緻密に重ねられていくギターのフレーズとリズム。それはまるで、彼女自身の内面にある多面的な思考が、一つずつ音になって積み上がっていくような錯覚を覚えます。 「味変」という言葉を使って彼女は謙遜しますが、その音の構築には、自身の楽曲を客観的に俯瞰する高いプロデュース能力が光っていました。


私たちは大人になるにつれ、どこかで「前向きであれ」という強迫観念に晒されます。しかし、流川さんの音楽は、その根底にある「虚無」を隠そうとはしません。 「虚無から花が咲くように」という言葉通り、彼女は空虚さや否定的な感情を「種」として捉え、音楽という水を与えて見事な花へと昇華させています。その姿は、酸いも甘いも経験してきた大人のリスナーにとって、安易な応援歌よりもずっと深く、そして切実に心に響くものでした。


音楽、イラスト、動画制作。流川さんのアウトプットは多岐にわたりますが、それらは決してバラバラなものではありません。 ライブの演奏中、彼女の背後に彼女自身が描いた色彩が見えるような――。そんな共感覚的な奥行きを感じさせるのは、彼女が自分の世界を全方位で構築しているクリエイターだからでしょう。新曲の配信も近いとのことですが、彼女の新しい「花」がどのような色を纏って届けられるのか、今から楽しみです。


あの多層的な音色は、孤独を知る多くの人の心を静かに震わせたはずです。


自分の弱ささえも「味」に変えてしまう、その誠実な創作活動をこれからも支持し続けます。新曲の配信、首を長くして待っています。素敵な音楽体験を、ありがとうございました。

投稿者

Kanonchan

2025/12/19 11:20

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