かわむらいさみと言う男2
とことんツイて無い男、それが「かわむらいさみ」らしく、かわむらいさみの今までのパターンだった。いつも良い所まで行くが呪われた様に寸前で何かが起きてチャンスが流れる男。パチンコへの提供曲や餃子も街おこしソング、頼まれればどこまでもお人好しに次々と惜しみなく名曲を書いてしまう。そして手抜き無しの全力投球。この男が報われる日は有るのだろうか?そう思って数年見て来たが、なかなか陽の目を見ない。世の中のヒットメーカーのアーティストと何ら遜色の無い曲を書き、良い声で歌う。ストリートで歌い続ければ、ホームレスのおじさんと仲良しになったり、飾る事も見栄張る事もしない、等身大で無防備で、この人は簡単に騙されるんだろうなと思っていれば普通の人なら再起不能な程騙された過去があったり。それでも本人は大らかに笑っている。無邪気で無防備で子どもの様に純真で。類は友を呼ぶ優しいファンに囲まれて守られて、彼は歌い続けている。
何故あんなにもいつも笑っていられるんだろう?ストリートで歌っている時に飛び蹴りされても怒らない人。底抜けなお人好し。誰とでも気さくに半径50mくらいの集まった人達と次々仲良くなってしまう。私の人生史上会った事の無いタイプの男だった。誰にも媚びないのに自然体のまま愛されて何事も許されてしまう人柄。彼のストリートライブには愛犬が生きていた頃よく行ったが、人見知りで気難しい愛犬もかわむらさんが大好きで大人しく歌を一緒に聴いていた。不思議な違う星から来た様な男、それがかわむらいさみと言う男だ。
かわむらさんと、かわむらさんを私に紹介してくれたのは離婚後子どもに会えないお父さん達だった。たまたま彼らが入った名古屋のラーメン屋で、かわむらさんとはパチンコの曲の関係で関係者とラーメン屋で隣の席になり、何かのキッカケでこの問題を話す事になり、半ば酔った勢いなのか意気投合して吉祥寺のうどんライブに行く約束をして解散したらしく、凄い良い曲だから!一緒に行きましょうと彼らに誘われて、お父さん達とライブに行ったのが始まりだった。
MCで良く喋る人だなぁと思いつつ、集まってるファンとの絆の深さを感じた。熱狂的なファンに支えられてるなと思った。昔からのファンなのだと分かった。とにかく温かいライブで、かわむらうどんと言う名物の彼の考案したうどんが本当に美味しかった。最近まで私はかわむらさんは、新潟のうどん屋の息子だと思っていた。そのくらいうどんを熱く語っていたからだ。その出逢いから現在に至るまで様々な出来事を見て来た。
度々コンテストやコンペで良い所まで行くが、必ずと言って良いほど、毎回毎回チャンスが目の前で流れる男だった。大きなイベントか何かでグランプリ取った瞬間コロナ禍が訪れたり。
今回も当然何かが起きるだろうと期待せずに見ていたら、ファイナル出場となってしまった。周りを見たら最年長かも知れない。審査員やレコード会社は若い人を好むかも知れない。
しかし、かわむらいさみと言う男に限界は全く感じられず、何年曲を作り続けても、源泉掛け流しの温泉の様にじゃぶじゃぶと作曲が無限大に出来てしまう。歌も年齢を重ねた燻銀の様な円熟した声になって来た。ギターは言うまでも無く上手い。歌いながらあそこまで弾けるの人はなかなか居ないと思う。カラオケで子どもも大人も楽しめる曲が沢山有る。名曲を量産し過ぎて全部聴いたら24時間では足りない。むしろこの先の方が楽しみである。審査員や会場を訪れた彼の歌を聴いた事の無い人達が、どう判断するかはわからない。
アンラッキーなかわむらいさみと言う男がそろそろ有名になってはくれないかと願うばかり。
今回グランプリ取れなかったら、またかわむらさんらしいなと思うだけだが今回は特に、今まで応援して来た彼のファンの想い、離婚後子どもに会いたいお父さんやお母さんの想いが込められている。皆んな祈る様な想いでグランプリを応援している。
今度こそグランプリ取ってアンラッキー伝説に終止符を打ってください。
2023/01/14