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生きていける。

Elizabeth.eight ONEMAN LIVE 「LOVE & THANKS Ⅻ」 @浅草Gold Sounds

開催日: 2025/08/23

明るく、暖かなライトがステージを包んだ。



確かなリズムとメロディーがその場を支え、観客は揺れながら新曲「バイプレイヤー」の歌詞を噛み締めていた。



ステージ前方は湿度が上がった。



静かな嗚咽が聴こえた。


 


「…私にも好きな事があるし」
そう歌うミワユータさんの優しい眼差しが眩しかった。
その瞬間は私に向かって歌ってくださっている様な気がした。その眼差しを覚えておこうとおもった。
愛に溢れていた。
赦された気がした。
ママになっても「好き」を追いかけていいんだ。



「拍手喝采」
その一言に全てが集約されていた。


誰かの為に生きる事。



誰かの為に成す事。



ソレが必要でソレが生活の中心で。


 


当たり前に色んな事を諦める。


 


それらを「拍手喝采」でぎゅっと抱きしめてくれた。



※※※※※※※



この日、浅草ゴールドサウンズで行われたベスハチの6年ぶりのワンワンライブに私は意気揚々と宮城から参加した。


 


湿度の高い東京。
少し暑さが緩んで夕闇が街を包む頃。
そっとライブハウスの扉をくぐった。
紙のチケットの番号は13番。


 


この日が楽しみで、ライブ用の小さな黒いボディバックの1番後のポケットに入れておいた紙のチケットを何度も取り出しては眺め当日を待った。


紙のチケット、手元に残る証。



この日。ここに居ましたよ。という証。



中々ライブに参加出来ない私にはこの紙のチケットは物凄く大切な物だ。



私は自分が参加出来たベスハチのライブの紙チケットは全部取ってある。


自分がいつかこの世を旅立つ時、全部棺桶に一緒に入れてもらう為に纏めている。



浅草は綺麗でお洒落なライブハウスだった。
ライブハウスには珍しく、ガラス張りでバーカウンターからもステージが見える。



ちょっと体力に自信がなくても、大きな音がダメでも楽しめる作りだ。


 


ライブハウスでしか得られない栄養があると10代からライブハウスに通う私は思う。



あの場所で生の空間を味わう事。


 


今回はベスハチ6年振りのワンマン。



私はゼルバニアになって初めてのワンマン。



どんな感じなんだろう…とソワソワドキドキしていた。
いつも15分から長くても45分のライブしか見たことが無かった。配信がメインだ。生で長時間は初めて。 
 
初めての人が居たら最前を譲ろうと思いつつもいつものマイクスタンド左の最前に滑りこんだ。


ステージが近い。
バーはあるもののステージがものすごく近いのだ。
これは…私の命が持たないのでは…と周りのゼルバニアに「近い、近い…どうしよう…」と狼狽えては慰められていた。


「大丈夫!おなっちゃんが蒸発したら残った服とか集めておくから!!」


「崩れ落ちても両サイドゼルバニアだから!助けられるから!」


頼もしい限りである。


私はベスハチをミワユータさんを信仰しているので「普通」の楽しみ方が中々難しい。


先ず、泣かずにオープニングを迎えられた事がない。


メンバーさんが出てきただけで涙腺が「開栓!!」と猛烈に仕事をし始める。
厄介な体質である。


この日も散々メイクが落ちないようにスプレーしたり(コスプレ用の強そうなやつ)ウォータープルーフのコスメを使ったりしたのにライブが終わったら、つけまつげは愚かコンシーラーもアイラインも、ファンデーションもフェイスラインのシェーディングも何も残って居なかった。


神様の前で人間は無力なのである。


正直、楽しみ過ぎてライブ中の記憶があまり無い。
後から拝見したセットリストで「あれ?この曲やってた?」と言うのもあり驚いた。


今回は記憶がおぼろげなのでレポも朧である。
記憶に残っている所をかい摘んで何とか今書いている。


※※※※※


私の中でものすごく衝撃的な出来事があった…


OTONOVA2025で優勝した賞金で作られるフルアルバムの先行で2曲リリースされた内の1曲、「アインシュタインの果実」が終わった時のMCでミワさんが「あれ、何か落ちてるよ?」とステージの端から拾いあげたのは…


私の大きめのハート形の中に蜂のマークが入ったピアスだった。


 


友人が私がベスハチを信仰しているのを知っていて、探して誕生日に贈ってくれたものだ。


 


ライブ中、割と早い段階で頭を振りすぎて飛んで仕舞った様だ。


 


実は7曲目のアインシュタインが始まる前からソコに落ちてしまっていて、いつ飛んだのか全く分からない内に…気づいたらソコに…



よりによって…ステージのミワさんの近くに落ちてしまっていた。


どうしよう…ライブ中、このバーより先に手を突っ込むなんて出来ない。



ステージは聖域なのだ。



どうかミワさんがアレが原因で躓いたりしませんように!!!!と特大の念を飛ばしていたのだった。


終演後に物販で猛烈に謝罪しなければ!!!と思っていたら…拾って下さった。


私のピアスですの動きをしていたらミワさんがピアスを届けに来てくださったのだ。



もう、届けに来ていただいただけで卒倒しそう。



あの時、血圧計をつけていたら面白い数値を叩き出していただろう。


しかも、そっと私のピアスホールを探して下さる…こんな事が…許されるのか…?足元から震えが這い上がってきた。



近い、近すぎる…


神様が近すぎるぅぅぅぅぅぅ…


近くで動画を撮ってくれていたゼルバニアが居て後から見せて貰ったら、私は面白い位に百面相していた。


しかし、公演中のライブハウスだ。
暗い中で他人のピアスホールを探すのは中々難しい…
自分で刺そうとピアスを受け取る…


しかし、興奮と緊張であり得ないぐらい手が震え全くピアスホールに刺さらないのである。



体感的に地震にしたら震度5強。避難ギリギリである。



いつもはノールックで適当につけても平気なのに…


白昼の街中であの手の震え方をしている人が居たら間違いなく何らかの病気を疑われ、救急車を呼ばれる。


 


どうにも震えが止まらず絞り出すように、ミワさんに「手が震えて…入らないです…」



と伝えるとふっと優しく微笑んでマイク前に戻った。


「手が震えて入らないって。」


 


後の方でどっと笑いが起きた。
笑って下さい…



もう、これは笑ってもらって…フロアが土ならばそのまま高速回転して潜り込んでしまいたかった。
東京に新しい地下鉄を掘りそうだ。


でも、そのフロアの笑い声にとても安心した。


何と言う気遣いだろう。
大切なステージに、故意では無いとはいえ私物が入り込んで仕舞ったのに。
解決してスムーズに次に繋げてくださったのだ。


「トラブルもショウアップしてこそ」と以前おっしゃっていた事を思い出した。


眩しい、眩しすぎる。


その後があたしバンドマンだったのでもう、脱水寸前位の涙量を更新した。
顔面はびしょびしょだ。


ゴルサンは音は勿論、照明が素晴らしい。


ベスハチの曲、一曲、一曲を細部まで知り尽くしたかのような天才的な照明。


音の素晴らしさ、ベスハチの素晴らしさ、照明の天才的な動きに息も絶え絶えになった頃。


メンバーさんがそれぞれ楽器を置いてハケて行った。



あれ?どうしたんだろう?と伺っていると…



ミワさんが一声、
「10分間の自由時間にする!」


なるほど!!!



その10分間の内にバーカウンターに行く人もいれば、トイレに行く人も談笑する声も聴こえた。



ただじっと、ステージに映される映像に見入る人も居た。



MV撮影やレコーディングのメイキング。
普段は見られ無いメンバーさんの様子。



隣に居たゼルバニアが


「あ、エリック・サティ…私好きなんだこの曲…」と


え?…ほんとだ映像のBGMが…


「アインシュタインの果実」の歌詞に出てくる「エリック・サティ」の曲が繋がれて流れていた。


なるほど…この映像にも何か他に仕掛けられて居るのでは?と…神経を張り巡らせるも、寄せては返す波の映像とエリック・サティでチルって仕舞った。


ふわっと夢見心地でいるとメンバーさんがステージへ。


あれ…このイントロは…「クライマックス」!!!
「君に会えた事が…」
もう、この一節でテクニカルノックアウトである。



明るく照らす照明に真っ直ぐ歌い上げるミワさんに、今日は…何度召されるのか…涙の在庫はもう無いのに…どんどん溢れて来てしまう。


 


「獣道の先は浜辺…」
コレか!?
さっきの映像とのシンクロ!?
海辺のアレはここに繋がっているのか?!


 


計算し尽くされたエンタメ…そう、ベスハチはココも凄いのだ。
何かが何処がで繋がっている。ファンに「え!これか!!」と言う驚きをくれる。


 


お手本の様なエンタメ感。



欲しいものは全部出してくれる。 


 


「何年も同じバンド推して飽きない?違うの聞こうとか思わないの?」と言われる事がある。


 


生まれた国が生涯変わらないように、


コレもまた私は変わらないのだ。


唯一の永遠。


 


丸ごと箱推し。


 


教祖はミワユータさん。



ベスハチがいつか外国のメタルバンドみたいに宗教法人になるといいなと思って生きてる。


 


ライブは進みメンバーさん曰く「疲れるセクション」へと突入した。


 


フロアは飛び跳ねる観客と歓声に包まれた。



時折入るミワユータさんのMCが炸裂して笑いを誘う。


「バンドマンあるある全部言っていこうかな…」で会場に居たバンドマンの「あー!!」とか「わかるー!」の声に笑った。
大人になってから中々こんなに大笑いする事もない。


「アインガール!!!」
ミワさんが叫ぶと会場中から悲鳴が上がった。
皆待っていたのだ。
無敵のアインガールを。
ミワさんが歌うのに合わせて皆大合唱するもので豪華なカラオケ状態である。
途中脳の疲労があってか歌詞の飛んでいる?と言う所すら観客は夢中で歌っていた。


ミワさんは脳のご病気のあと、発作が度々起きて歌詞が出なかったり、ライブ中も一瞬意識が飛んだ取りと色んな事が起きる。
でも、ゼルバニアはそれは分かっているし、それでもライブをしてくださると言う事に感謝しか無い。
歌詞が出ないなら私たちが歌う。歌わせて頂く。
ミワユータさんの書いたこの歌詞が私たちを救ってくれたから。
人が詰めてギューギューの中、アイアンガールの合唱は止まらない。
沢山腕が上がって視界に入ってくるもんで、どれが自分の腕だ?と分からなくなる程に。


※※※※※※※


シックアゴー


コレはもう、絶対にやるハズ!!と思っていたので本当に嬉しかった。
時々話題になる様々なライブでのモッシュ中の痴漢や怪我の問題。


ベスハチのライブでは皆無なのだ。
ミワさんが
「こっちからコッチは女子!コッチ男子!それぞれその場で楽しんで!」と号令がはいる。


女子はキャッキャと移動した。
良い匂いとともに女子のピットが完成した。



ミワさんを目印に女子と男子の間にハッキリと隙間が出来た。
さながら、海を割ったモーセの様である。


にっこりしたミワさんが女子ピットに近づき声をかける。
「魔法をかけます。肌荒れしてる人は…明日!肌荒れが治ります!!!」
 
「ヤッター!!!!!」「キャー!!!」
※実際、ライブから帰ってきてからメイクのりがとてもよい。 
ベスハチのライブは肌荒れにも効くのだ。


「生理痛が重い人は、次の生理から軽くなります!!!」


「ぎゃーーーーー!!!」全女子大歓喜である。


ウンウン「元気だね」と満足そうに男子ピットへ向う
男子には何を…?と思ったら…


「ユータさん可愛い!」とコールを要求していて楽しげだった。


とてもピースフルなモッシュの始まり方だ。


「恋愛なんて病気だわ 脳みその錯覚だわ それでも君が好き 治らなければいいな!」


ワンフレーズが終わるか終わらないかで元気な女子達はいい匂いをまき散らしながら飛び跳ねた。
押しつぶされる事も、突き飛ばされることもない。幸せなモッシュ空間。
私は隣合った女の子といつの間にか肩を組んで飛び跳ね、曲の最後には何度もハグしていた。


「ネバーマインド」


ライブの最後はネバーマインド。


MCで「自分を赦そうと思う。だから皆も」と仰った。



静かに歌いながら前方の観客から後方へ。



手のひらを合わせ。



「赦し」の伝播をしていった。



照明がぐるっと周り、穏やかに大佐のドラムが空気を震わせる中…



沢山の嗚咽と共に、赦しを得てワンマンライブは幕を下ろしたのだ。


 


アンコールは無し。


 


最後、ステージにダウン気味の照明に浮かんだメンバーさんの姿が何時までも瞼に焼き付いた。


 


陳腐な言葉だが、やっぱりワンマンって凄い。


あんなに沢山泣いたのに。


心が満たされてタプタプだ。


 


またライブを見に行けるように一生懸命生きようと心に決めた。


またベスハチの音楽に救われた。


生きていける。

投稿者

おなつ

2025/08/27 12:13

あおい!

No.2354627

まさに感情の洪水!!なベスハチ文学、おなつさんにしか書けないレポです…!!
総帥がおなつさんにピアスをつけている様子は見ているこちらもドキドキしてしまって、もう完璧にNANA越えでした…!!
素晴らしきレポをありがとうございます!!!
2025/08/27 21:00

cosmicted

No.2354625

素敵なレポートですね👍✨
2025/08/27 19:34

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