今回の会場の浅草GoldSoundsは配信にとても強いライブハウスである。
遠方で夜出歩く事が難しい私の様な主婦でも現地のフロアと変わらない音と映像をと届けてくれる。
これにどれだけの人が助けられているだろうか。
ベスハチのファンは女性が多く、夜に出歩くことが難しい人も多い。
介護や子育て、闘病していたり様々な都合があっても配信が有れば一時、現実を忘れて楽しむ事ができるのだ。
この小さなスマートフォンの向こう側。
眩しいほどに明るいステージを繋いでくれる。
ベスハチは一緒に楽しもうと、アクションを送ってくれる。
希望の小さな、けれど大切なこの繋がり。
配信ライブはライブハウスによって大分音や映像環境が異なる。
ファンとしてはライブ時に現地と同時にみられるだけでもありがたいのだが、そこに映像の美しさと音響の良さが加わると最強なのだ。
明日を生きる活力になる。
浅草GoldSoundsはライブを見慣れている人ほど「これは…!!!!」となるに違いない配信をしてくれている。
最強の映像と音響に最強に格好いいライブバンドが出演したらソレはもう…
格好良いの大洪水でしかないのだ。
「ロットガットで飛んだ」で始まったライブ。
サビの「拍手いただけない」の時のミワさんを抜いてくださったカメラさん。
そこが見たかった!!!と言う所を熟知していてくださるのがよく分かった。
そしてカメラの切り替えタイミングのよさ。
これは地上波の音楽番組ではないのか!?と錯覚してしまうほどだった。
2曲目の「ママセッド」
は最前のゼルバニアと握手しながら歌っているのが見えてとてもうらやましかった。
私も!!!握手されたい!!!!!(本当に握手して頂くと色々極まってフロアにキス(うずくまって動けなくなる)してしまうのに欲望だけは一丁前である)と悶絶した。
腕以外微動だにしないドラムの大佐、楽しそうにダンスのミワさんとこふじさん、客席を見つめ穏やかな笑顔でステージを支えるしゅんじさん。
ベスハチの魅力がぎゅと詰まっている一曲だった。
直後のMCに入る時のバンド名のコール
「エリザベスエイト、略して、ベス!ハチ!です!!どうぞよろしく!ベスハチ!セイ!」
と初見でも分かりやすい熟練の技。
私はこのコールが大好きで、ステージとフロアが繋がる瞬間だと思っている。
始まるぞ!というワクワクが背筋を這い上がって来る。
3曲目の「シャンブルズ」
照明が曲に合わせて百鬼夜行味の有る色調に変わりドキドキした。
この曲は今年のシカト祭り以降ライブの定番化していて私も大好きな曲の1つ。
怪しげなイントロ、恋愛の激しい感情の行方の行き着く先…一定数の人が経験する「取られた」怒りと悲しみを燃料に進んで行く…
この時のミワさんの配信への問いかけに卒倒した。
好み過ぎる。
なんて、美しさなのか。
様々な経験があってこその危険を孕んだ怪しげな微笑みと言葉に、ハリー・ウィンストンのお店に婚約指輪を求めに走り出しそうな気持ちになった。
4曲目の「アイアンガール」
は私に人生の格言を与えてくれたベスハチの名曲である。
歌詞の「不幸せを誰かのせいにして生きていくのは嫌だから」自分の人生に責任を持ち、己の足で立ち戦いながら前に進んでいくのだ。
たとえ、膝をつくことがあったとしても必ず立ち上がる。
そんな言葉が脳みそを揺すぶった。
ライブ終盤、最後の曲前のMCで活動をお休み中のメンバーさんに触れていた。
不幸と幸せのバランスをメンバーで取って行くと。
このMCを聴いて尚更、優勝のその時が待ち遠しかった。
最後は「ネバーマインド」
「何度目かの寝返りを打って…」
孤独と不安に苛まれる深い夜の情景を思い聞き入っていた。
たくさんの透明度の高い水を湛えた湖に延々と落ちていく様な感覚を覚え、煩悩まみれの脳みそ丸ごとが浄化されていった。
サビで白の強い照明に照らされて歌い上げるミワさんを見て涙が止まらなくなった。
神様が本当にいるのだとしたら眼の前のこの方なのだろうと。
強い覚悟と努力と、血と汗と涙を費やした音楽の神様なのだ。
短い時間の中で何だか悟りを拓いた様な、そんなライブだった。
早くまた現地でベスハチを見たい。
一生懸命生きよう、そしてまたライブに行けるように頑張ろう。
大げさでも何でも無くそう思ったライブでした。