日常の中に常にある音楽
【sonar-u community】人の気持ちに寄り添う曲とは?【ゲスト:れいな】
開催日: 2021/08/16
とても興味深いテーマに引き込まれて
あっという間に感じました。
作るにしても、聴くにしても音楽は
感情を沈めたり、感情を昂らせたり
どのようなシーンでも気持ちに直に
繋がってくるものだと思います。
医学的にも心臓が止まる最後まで
しぶとく(笑)生き残るのは聴覚で
もちろん耳が脳に近い場所にある
気管である事もありますが、それ
以外にも記憶の面で聴覚と脳とは
密接に繋がっているのだと思います。
季節の匂いなどは、実際に臭覚を
使わずとも春の曲を聴けば不思議と
桜並木の香りを感じたり、夏の曲を
聴くと海辺や潮風、ココナツの甘い
香りを感じたりします。
それらは多分、わたしたちは自然と
音楽と寄り添い、知らぬ間に刻まれ
記憶されているものが引き出されて
音楽により、その季節やその状況や
その時代に連れて行ってくれるのだ
と思っています。
わたしは、数年前にすごくすごく大切
にしていたペットを失いました。
ごく幼いころに家にやってきました。
まだヨチヨチ歩きの白玉に小豆3つを
載せたような顔をしたマルチーズで。
幼少期、思春期、そして成人するまで
いつもそばで、それこそ寄り添って
一緒に成長して行きました。
数年前に歩く事さえも、おぼつがずに
食事もスポイトで歯のすきまから流し
込むほどになりました。老衰でした。
何も出来ることはないから、おうちで
最後まで一緒にいであげてください、
と動物病院で言われ、介護の日々に
ずっと、聴いてい食べ曲がありました。
お別れの曲でも、悲しい曲でもなく
励まし、勇気づける曲でもありません。
あえてそこから離れて自分の気持ちを保つためでした。
スポイトで食事をさせるときも、
くすりを飲ませるときも、おむつを
かえるときも、褥瘡にならないよう
寝返りをさせるときも、目やにを
取るときも、何時間も何時間も、
そっと、細く小さくなった体をなでる
ときも、ずっとずっと一日中同じ曲を
聴いていました。
それが何だったのか?と考えると
よく分からないのです。
特別好きなアーティストだったとか
応援ソングだったとかでもなくて。
ただ、何か願掛けのような気持ちでした。
一か月を待たずに彼はいなくなり。
わたしはペットロスになり今もまだ
泣き崩れちゃうほど好きなはずなのに
マルチーズに触れることができません。
毛並みや、仕草、体温や重さを感じて
思い出してしまうからだと思います。
そしてまた、その期間にわたしに
寄り添ってくれていた、その曲も
全く聴けなくなってしまいました。
街中で耳にすると足早に立ち去るほど
全てが思い出されて、聴けないのです。
聴覚からのメロディと、歌詞は全く
関係のない内容の言葉なのに、なぜか
その曲を耳にすると、ふわふわの耳や
くるくるした黒い瞳、小さな鼻や、
嗅ぐと少し臭い(笑)耳の中の匂いまで
鮮明に思い出してしまいつらいのです。
でもだから、その曲を嫌いになったか
というと、そんなはずはなくむしろ、
どんな曲よりも1番弱っていた時期の
わたしを支えて、寄り添ってくれた
大切な、大切な曲だと感謝しています。
いつか、その曲をあたたかく優しく
そして懐かしく聴ける時がきたら、
わたしのペットロスは時をすぎて、
また新しい子を迎えられるのかな?
と思っています。
音楽というものが、いかに人の心に
記憶に、気持ちに寄り添っているかを
心底感じた経験になりました。
大きな大きな失恋をしたときも
もう大人だし、お姉ちゃんなんだから
泣いちゃだめよと、しっかり者として
育てられたせいもあり、泣きたいのに
一人なのに、なかなか泣けなくて、
泣いたら少しは楽になれるのにと
ひざを抱える夜も、泣きスイッチを
入れてくれたのはやっぱり音楽でした。
堰を切ったように涙があふれ出て
あーやっと泣けた!とスッキリして
3日で忘れて1週間で思い出になり、
2年たった今では、たまに連絡が
きても笑ってチクチク嫌味を言える
関係になれました。
もう少し言うと彼がギタリストだった
ため深夜に聴くアコギやガットギターは
ぼんやりと一緒にいた時間を思い出します。
音楽が密接に、そばになかったら、
わたしはもしかしたら今頃、いわゆる
メンヘラとかになっていたのなか?
と思うと、つくづく音楽があって、
またら多少は楽器をいじれることや
音楽を共有できる仲間がいること、
没頭できる環境に感謝するばかりです。
生きていく中で、色んなシーンがあり
色んな出会いがあり、別れがあり、
成長や岐路がありそこに常に何らかの
音楽があり。
そしてその音楽はその時々わたし達に
寄り添って時間を共有しているので
どれだけ時間が過ぎても、その音を
聴くたびに、その頃の感情や空気や
匂いまでも連れてきてくれる気がします。
今、こうしている時間にもわたしの
そばには音楽がながれていて、
色んな感情も、空気も、香りも
流れていて、何年か先に今聴いている
曲を聴いたとき、今日の、今のこの
大切な気持ちや記憶を思い出すのかな
などと考えながら、この文を書いています。
時間は一瞬一瞬で過ぎてゆきますし
感情は常にめまぐるしく動いています
音楽はそれらをまとめて詰め込んで
大切に保管してくれるタイムカプセル
のようなものなのかもしれません。
今、わたしに寄り添ってくれている
ここに流れている音楽は、わたしが
仕事上で1番つらいときに耳にした
メロディで、そして支えられ励まされ
今日この時間も、がんばれている
まさに、心に寄り添ってくれている
大好きな楽曲です。
何年かして、この曲を聴くころには
現状が回復し、仕事に忙殺される日々
も過ぎ、また太陽の下で大きく息をし
お花見をして、海水浴に行って、
紅葉を見て、クリスマスに誰かと
寒いねとイルミネーションを見ながら
こんなにおだやかな日が来るなんて
思わなかったなあ、と今こうして曲の
中に箱詰めにした時間を、思い出すの
かな。
と思うと、少し楽しみな気がします。
生きづらい、困難と混乱の時代ですが
いつか今、色んな人たちが聴いている
色んな音楽の箱を開いたときに、
あの時は大変だったね、色々悩んだね
でもその中でできた繋がりや人の優しさも
たくさんあったね。
と笑って話せる未来がくることを
切に願っております。
そしてまた、こんな時代だからこそ
生まれてる素晴らしい楽曲もあり、
そして苦難するわたしたちに、
寄り添ってくれていると感じます。
音と言葉を紡ぎ音楽をつかって様々な
感情を引き出し、寄り添ってくださる
ミュージシャン、ボーカリストの皆様に
感謝いたします。
長々と失礼いたしました。
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