komomoさんの声の特徴は、何といってもその透明感。彼女の歌を聴くと、まるで天使が通ったようだ、といつも思う。見えないはずの歌声の通り道が、はっきりとそこに見えるのだ。彼女の声は、決して地面に落ちない。ふわりと私たちの心まで飛んできて、きらきらと光り、やがて、すっと空に溶ける。初めて聴いたとき、彼女が"北の妖精"と呼ばれていることがとても納得できた。

その秘密は、彼女の体の使い方にある。まず、まるで肩で息をしない。一度だけ斜めを向いて歌う動画を観る機会があったのだが、それはそれは美しい横隔膜の動きであった。声が伸びるのも頷ける。斜腹筋(腹斜筋)のみにテンションが偏ると力んでしまうが、彼女は発声もとても上手だ。よく脱力して喉を開け、息中心の声で歌う。ひっかかりのない流れるような歌声は、息の使い方とお腹の使い方のバランスが絶妙だからであろう。

そんなkomomoさんの歌うジャンルは、至上の歌姫高橋真梨子から今流行りのヨルシカまで、実に幅広い。決して声真似ではなく、どの曲も彼女の色で歌い上げる。その表情がまた良いのだ。その音形のもつ切なさや鋭さや甘さを見事に感じとり、表現してみせる。

komomoさんの歌に癒され、明日もがんばろうと励まされる人は多い。このどこまでも透き通った優しい歌声を、多くの人に知ってもらいたい。彼女の歌が、北の大地から全国に届き、光の雨を降らしますように。