アサガヤ
新宿から中央線に乗って西に走ると、体が軽くなっていく。
時代の空気を煮詰めたような闘争と逃避と退廃に彩られた70年代の新宿。
そして、そこからさらに西、米軍基地が作り出す異国の風が吹く街。
そのルートには、2つの異なる文化がぶつかりあって数多くの魅力的な街を作り出した。
高円寺、吉祥寺、荻窪、国立、立川、どこも個性的で、唯一無二。
古着屋や中古レコード屋が立ち並び、レトロで落ち着く雰囲気のカフェや、爆音で古い音楽を聴かせるロックバーも街にアクセントを加える。
そして何より、そんな街が醸し出す雰囲気に惹かれて集まってきたそこに住む人々が、街をさらに魅力的なものにする。
そのエリアは、いつでも優しくて暖かくて、どこか懐かしくて、反抗心といたずら心でアクセントが加えられ、時々少し孤独で、そして何より、この上なく自由だ。
アサガヤもそんなエリアにある。
そこは、ジャズの街である。一年に1度、街中にジャズが溢れる。もちろん、普段でも雑居ビルの中の小さなステージでも、良質な音楽が聞こえる。閑静な住宅街の中にもインディーズの映画が見られる小さな劇場や、レトロな建物が隠れていて、歩くだけでいくつもの新しい発見と、感性を刺激する風景が見つかるだろう。
街の真ん中を貫く大通りには、歴史を感じさせる背の高い並木が続き、涼しげな影を投げかける。
かっこよくて、美しくて、古くて、新しくて、そこにいるだけで心が浮き立ってくるのがアサガヤといえ街だ。
そんな町で行われるイベントが、アサガヤガールズコレクションだ。
今回で98回目。100回目も近い。
今回も、出演を目指すアーティストが絞られてきている。
アサガヤという町にぴったりなアーティストばかりだ。
アサガヤには物語があり、音楽がある。
街が織りなすストーリーに、1番ぴったりくる歌を乗せてくれるのは誰なのだろう。
その歌声で、アサガヤの1日は、まるで英語の一シーンのように、輝くはずだ。
2022/06/17